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イラクレポート 2002〜2003 #14

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3/20〜4/1までの経緯


ちょっとした事件に巻き込まれ、国外強制退去になってしまいました。

 開戦翌日の3月21日ダマスカス経由でバグダッド入りしました。 戦時下で情勢が刻々と変化し、数日前の事が通用しなくなっていたのです。
 東京の大使館ではバグダッドにはいってしまえば、 「たくさんの友人がいるから助けてもらえる」と言っていたのに、戦時下で今までサポートしてくれていた人たちが 外国人である私と接触することを恐れ、助けてくれませんでした。 外国人が一人で市内を歩き回ることすら不審に思われ、警察に逮捕されてしまう状況でした。 頼りを失って、自由に動き回ることが出来なくなった私は、ホテルを転々とし、 アメリカが攻めてきて、政権が崩壊するのを待つしかありませんでした。

 しかし、戦況は長期化の方向になり、いつまでもホテルに隠れている事も出来ず、 安いホテルに変えるため市内をタクシーで探し回りました。 タクシードライバーが連れって行ってくれたホテルは偶然にも、 シカゴにある「荒野の声」というイラク支援のNGOが組織したイラクピースチームの人たちの宿でした。 「荒野の声」は昨年から私の写真集や写真展でとてもお世話になっている団体でした。 私のイラクでの仕事を高く評価してくれていました。 彼らに頼めば何とかなると思い、話し合いを持ち、アメリカの戦争犯罪を告発するための調査活動に 同行する事で、外務省と話しをつけてくれ、ようやく身分が保障され、 取材が出来るようになったのです。イラク入国5日目でした。

病院や誤爆現場などの取材をしました。

 28日朝、宿泊先のホテルに近くの電話局に2発のトマホークが落ちました。 その日の朝アメリカのチームと一緒にホテルを出て彼らの本部に向かいました。 ところが彼らは途中で、イラク人のガイドも無しに、 トマホークの落ちた電話局の前の商店の被害調査を始めてしまったのです。 しばらくして通りかかったパトカーに見つかり警察に5時間留置され、カメラを没収され、外務省の役人が来て、 「明朝8時に荷物をまとめて出国せよ」と強制退去処分になってしまいました。

 せっかく、上手く取材が始まったのですが、とばっちりを受けて出国せざるを得ませんでした。 しかし、外務省の役人は私の仕事をよく理解していてくれて、 「これは規則だから許してくれ、一度出国してまた来い」と言ってくれました。

 戦争が長引く事は私は予想していませんでした。 帰りの国境でたくさんのイラク人やパレスチナ人がバグダッドを守るためにと入国してゆきました。 対照的に難民として出国するイラク人は一人も見かけませんでした。

 先ほどのBBCでバグダッドの軍関係者の記者会見を放映していました。 ナジャフでの検問中の米兵にイラク人が自爆テロ行った事に対して、 どう思うかと西側記者が質問していたのです。 イラク側は「自爆テロは侵略者への反撃でありテロではない」と言い返していました。 西側のメディアは本当に腹が立ちます。 侵略者はアメリカであり侵略者の米兵に立ち向かうのはテロ行為と思っているのですから。 どんな凶悪な国家であっても一国の独立国を武力で転覆させるなど許されるわけがありません。

長期化する事でイラク人の心に変化が起こっているようです。
  1. 米軍は解放軍ではなく侵略者である事。
  2. ナジャフ、カルバラなどシーア派のメッカを蹂躙したキリスト教原理主義者のブッシュの軍隊。という認識が広まってゆくと思います。これはジハードへの理由付けになってイスラム社会全体を巻き込んだ、第二のアフガンになる可能性もあります。
  3. 国際的な反戦世論が広がり米兵にの犠牲も増えれば、米軍の士気は低下し、厭戦気分も広がるでしょう。これは米軍にとってもっとも怖い事です。
 当初イラク人の心は読めない、イラク人はそんなにがんばらないよ、強いものに なびくよといわれていましたが、今後の推移でイラク人もベトナム人のように戦 う可能性は十分あります。その時はサダム政権擁護など乗り越えていくと思います。 しかし、次の政権を担える勢力が存在しない限り、不安定化はいつまでも続くと 思います。

 戦時のため一週間で大量の出費をしてしまいました。戦場はどこも金のかかるところですが。 命を守るためには値切ってなどいられませんから。今回の出費をカバーしたらまたでかけます。

アメリカは許せない。ブッシュは許せない。私のブッシュとの戦いは終わっていません。


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