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イラクレポート 2002〜2003 #2

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鎌仲レポート1


バグダッド時間 9/29 18:34送信(日本時間 9/29 23:40受信)
2002.9.23 バスラサダム教育病院
 ジュワード医師とは9ヶ月ぶりに再会。彼は以前自ら骨ガンであることを、告白していたが。顔色もよく元気そうだった。 病院は昨年改修工事中だったが今はすっかりこぎれいになっている。 彼はイスラム関係の市民団体が招きで、10月17日に来日する予定だ。
 このインタビューは「地球最後の日」を製作中の鎌仲ひとみさんが行った。
ジュワード医師インタビュー取材
鎌仲 ひとみ  

 湾岸戦争では米英軍が劣化ウラン弾を本格的戦争で初めて使い、その総量は800トンといわれている。 特にバスラ西部で集中的に使われこの地域全体を放射能で汚染した。 北や戦闘地帯まで汚染された。バスラ以北も汚染された。汚染はこの地域全体の45パーセントにわたる。 そして、300万人の住民に影響を与えている。住民だけでなく米軍兵士にも影響も与えている。 彼らに被爆の危険性を伝えていなかったからだ。 被曝によるガンだけで、重金属毒性による腎臓障害も同時に引き犯されている。 ガンや白血病は戦後4,5年で急増しはじめたが、その原因についてわからなかった。


感情を抑え静かにゆっくり語るジュワード医師は
患者から絶大な信頼を受けている。
毎朝病院に来ると患者たちの病室を巡回し
患者を励ましている。
 1998年にバスラの厚生省の支部がガンの発生率の調査結果を発表した。その結果によると88年1万人に15人だった。98年の調査では75人で5倍化。昨年は116人。年々増加している。しかし、この数は実際の45%ぐらいではないかと思われている。 イラク全土のガン死亡率の12から14%はバスラに集中している。これは人口に比べるとすごく高い率だ。 イラク全土では18エリアがあり、全土で5000人がガンで死んでいる。バスラだけで603人(2001年)の死亡数。

[今までに無いガンのケース〕
 新しいさまざまなガンのケースが増えているのでがん患者を全部登録することは今の状態では難しい。 私の友人の家族は7人がガンだ。 実家の妻の家族は8人がガンで乳ガンになった姪だけが生き残っている。 当病院では600人のスッタフ中12人がガンにかかっている。5人の女医が乳がんで3人の男の医師が悪性リンパ腫で、3人は膀胱ガンでもう1人は白血病。12人は全員湾岸戦争のときに病院に勤めていた。最近も一人ガンにかかってしまった。 湾岸戦争の1991年1月26日この病院に2つのミサイルが着弾し、4人の患者が死亡した。これらミサイルは劣化ウランを含んでいたに違いない。近所には10個のミサイルが落ちた。そのときいた医学生は乳がんになってこの病院を去ってしまった。

[ダブルキャンサー〕
 5人の患者について調べた。ダブルキャンサー(同時に二つの箇所にガン発見された)で白血病と胃がんが同時に発生している。 注:白血病と胃がんは一緒に発生することは ほとんどない。複合ガンは異常な現象だ。 ひとつのガンだけでも大変なのに、2箇所にガンが起こるなんて、信じられない。 治療と言う見地からいえばこれらの患者を治すのは不可能。これらの患者がガンを抱えながらなるべくノーマルな生活が出来るように支援をしている。

[医品や医療品の恒常的不足とOil & Food〕
ガンの初期発見はここでは不可能。ここの病院にやってくるほとんどの患者は手遅れの状態でやってくる。 治療するための手段として数種類の薬を使わなければならないのに手に入らない。

ジュワ−ド医師が調べた、
バスラしないでガンで亡くなった人数。
湾岸戦争前と今では18倍もある。



患者の様子を見に病室を尋ねる。
患者一人一人の悩みを聞き相談にのる。



診察中のジュワード医師を撮影中の
鎌仲ひとみさんと牧さん。
(9月24日・サダム教育病院)
慢性白血病に関して治療薬は91年以降まったく受け取っていない。 患者が来ても治療できない。 通常の手段がまったくない。 2,3日前にビンクリスティンを受けとったけれども、サイトザルは手に入らない。「一体どうやってこの患者を治せというのか」 バクダッドですらそれはなかなか手に入らない。 もし、バクダッドに放射線治療のために患者を送り込んでも6ヶ月以上待たなけば治療が受けられない。患者は6ヶ月も待っていられない。化学療法の患者も6ヶ月以上待っているが薬は届かない。 Oil and foofプログラムでいくつもの製薬会社と契約しているが必要な時期に必要なものを送ってこない。 Aと言う薬を送ってきたかと思うと、数ヵ月後にしか次の薬が届かない。すぐ次の薬で治療を始めなければならないのにそのときには無い。これは製薬会社の意図的なサボタージュとしか考えられない。 いつも、そうやって治療をするための基礎的規準をぶち壊しにされる。 国連を通じているのに国際基準さえ満たされず、政府は無駄に金を失い、我々は薬を無駄にし、結局、患者は無駄死にしてしう。 「これは犯罪だ」彼らは(国連、西側の製薬会社)どんな薬でもオーダーできるのにどうして必要な薬を買わないんだ、と言う。我々は弄ばれているようだ。また、血液検査のキッドでも同じことが言える。注文しても注文数を満たさず、次の契約をし、届くのは2年後とか3年後になってしまう。 この病院のMRIが壊れたが、同時期に輸入したイラク中のMRI の同じ場所が壊れる欠商品を送り込んできたと思われる。 石油を売ったお金の送金をUNが遅らせるために届くまで製薬会社は薬を発送しない。 6ヶ月に2億バレル輸出しているがそのお金は自分たちのすきなように使うことが出来ない。 アメリカは世界中に「イラク政府はわざと薬を輸入していない」というけれども真実は違う。  見掛けは立派な病院だがその内実は、薬も医療品もない。これでは我々の患者を救うことは出来ない。経済制裁さえなければ自分たちで薬を買えるし自分たちの力で患者を治すことが出来る。

[今は治療ではなくサバイバルだ]
 今は治療ではなくサバイバルだ。 50%の患者が何とか生きながらえ、生活の質を保ちながら生きられることを援助をしている。 医師として、彼らと話し合い。魂や人生について語り合い、だんだん自分の立場をわかってくる。心理的サポートは患者にとってすごく大切。すべての患者と普通の生活が送れるよう助けてあげる。 ガンで死のうと、交通事故にあって死のうと死には代わりは無いと言うことを言うと微笑んでくれる。 診察していると彼らの死を診察しているようだ。とても悲しいことだ。胸が痛みそのうち自分は心臓発作で死ぬようだ。 彼らの最後のときには本当に胸が締め付けられる。よるベッドの中で彼らの姿が現れ、不眠症になってしまう。悪夢のようだ。

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