◆劣化ウラン弾
湾岸戦争後、イラクでは多くの子どもたちが白血病、ガン、奇形などで苦しんでいる。その原因は湾岸戦争で米英軍が初めて使った劣化ウラン弾だと言われている。
12年に及ぶ国連の経済制裁により医療現場は崩壊し、医者はなす術を持たない。被害者はじっと死を待つのみだ。西側メディアはイラクから発信される情報は、サダム・フセインのプロパガンダだと一笑に付す傾向にあるが、ここに写っていることはイラクの現実なのだ。
湾岸戦争以後、ボスニア、コソボでも使用され昨年から続くアフガンでも使われた疑いが濃い。イラクで起こっている現実は10年後のアフガンの姿になるかもしれない。イラクの子どもたちは未来に警鐘を鳴らしている。
◆ツワイサ核施設
アメリカがサダム政権打倒の理由として「大量破壊兵器や核開発」を上げていたその中心的施設のツワイサ核施設はバグダッド中心部から南東に25キロにある。
バグダッド陥落前後、米軍はこの施設の略奪を放置し、住民たちは施設内から金属片や汚染物質を持ち出した。特に、天然ウラン(通称イエローケーキ)の入ったドラム缶を持ち出した近隣住民は水をためたり、漬け物の容器に使ったりしていた。知識のない住民は運び出す途中で、黄色い粉を捨て行った。道路や住宅地、学校などが汚染されてしまった。やがて住民に、下痢、吐き気、皮膚に紫斑や発疹、白内障、倦怠感などの急性放射線障害などが発生し、すでに亡くなった住民もたくさんいる。
汚染地の特定と汚染除去、住民の汚染地からの避難、健康診断を実施しなければならないが、イラクには誰もそれをやってくれる所はなかった。住民は放置されていた。