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イラク レポート 2003/11〜12 #8


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バグダッド ストリート チルドレン

ストリートチルドレンのケアをしている高遠菜穂子さん
ストリートチルドレンのケアをしている高遠菜穂子さん。 大きな体の少年が高遠さんに甘えてくる。 彼女はしっかり彼等の甘えを受け止めてあげていた。
サンドイッチできあがるのが待てない子どもたち
「サンドイッチをみんなにご馳走しよう」と屋台のサンドイッチ屋さんに連れていったら、 できあがるのが待てない子どもたちがサンドイッチを作るのを手伝い始めた。
ドラムのリズムに乗ってアドリブで踊り出す子どもたち
子どもたちはとてもリズム感の良い。ドラムのリズムに乗ってアドリブで踊り出す。
ファイティングポーズは強いものへのあこがれか
自分たちが一番弱い立場に置かれていることを彼等は一番良く知っている。 ファイティングポーズは強いものへのあこがれがあるのかも知れない。
英語のテキストを持っている子もいた。
英語のテキストを持っている子もいた。
ビー玉遊びをしているところは日本の子どもたちと同じだ。
ビー玉遊びをしているところは日本の子どもたちと同じだ。
喫煙は日常化している
喫煙は日常化し、大人たちも平気でタバコをあげている。 シンナーや睡眠薬のどの薬物にも手を出している子どももいる。 社会から見捨てられた寂しさを紛らわす彼等の手段なのだ。
自立を始めた子どもたちが自炊をしている
自立を始めた子どもたちが自炊をしている。靴磨きなどで稼いで も食べ盛りの子どもたちに十分な食事を食べさせられない。いつも、飢えていた。
ヨーロッパのNGOが借りてくれた安ホテル
ヨーロッパのNGOが借りてくれた安ホテル。子どもたちの城になっている。
彼の言うことはみんな良く聞く。リーダーだ。
彼の言うことはみんな良く聞く。リーダーだ。 戦争直後、フェダーイン・サダム(サダム殉教旅団)の兵隊が女性をレイプしようとしたところを助けに入って、撃たれてしまった。左足の膝からしたが動かない。日本で手術して欲しい。
今、バグダッドでは戦火の中で家族を失い、家族からも捨てられた子どもがストリートチルドレンになっている。 その数の実体は正確にはわかりませんが、ヨーロッパのNGOの推定では数千人いるのではないかと言われている。
 昨年12月初旬私は彼等がねぐらにしている、パレスチナホテルの近くにある10階建て?のアパートの半地下室に行った。 じめじめした暗い部屋で、暖房も、寝具もなく電気もない。 アパートの前の道路の真ん中に水道管が破裂して大きな口を開け、透明な水があふれ出ている。その水を飲んでいる。
 バグダッドの冬の夜は最低気温が4,5度になる。暖房がなければ過ごせない。 そんな中で彼等は身を寄せ合いながらこの冬を乗り切ろうとしている。 最も辛いことはいつもひもじいことだ。
 米軍の捨てた戦闘食の袋をあさり、近くのレストランやホテルからで出た残飯を食べ飢えを凌いでいる彼は 極端にやせ細っていた。
 家族や社会から捨てられた彼等は、愛に飢え、寂しさをこらえきれず、 麻薬やシンナー、ボンドなどの薬物に手を出してしまうものもいる。 食べ物に飢えているのに、薬物だけはどこからか手に入れてくる。 大人たちが簡単に売ってしまうからだ。 さらに、彼がもっている麻薬の中で米兵が戦闘前に使う通称「フラッシュ」 という興奮剤を使っていることだ。どのようなルートで彼等の手に渡るのかはわからない。 心も、体もぼろぼろの子どもたちだ。米軍占領下の彼等は最もその犠 牲になっているのだ。
 戦争前にも沢山のストリートチルドレンがいた。 しかし、シンナーや麻薬に手を出している子どもを見かけたことはなかった。 彼等は靴磨きやタバコのどの物売りをして必死に生きていた。 悪いことをすれば周りの大人たちが、注意をした。 シンーナーなどを平気で子どもに売る大人はいなかった。
 米軍の銃剣に怯え、金と暴力が支配し、 力の強いものが生き残れる今のイラクでは、彼等がまっとうな大人になれるチャンスが奪われている。 今、彼等に必要なものは食糧と衣服、住宅と何よりも安心して住める町なのだ。

 そんな彼等を体当たりで支援している日本人女性がいる。高遠菜穂子さんであ る。彼女は戦後イラクでストリートチルドレンの子供たちの自立を助けるために、 バグダッド市内にアパートを借り、彼等の世話をしている。今回の取材では彼女 の御世話になった。

1月14日に届いたバグダッドの高遠さんから届いたメール

あの、欧米人の借りていたホテルですが、引越しました。 ワジリヤにある、クルド人NGOの所有する大きな家に移ったらしいです。 私は忙しくてシェルターしか行ってませんが、確かにホテルには誰もいないようです。 写真の子は最近シェルターに来ていないので、 もしかするとクルド人の家に一緒に引越したかもしれません。 シンナーしてるから連れていってもらえなかった小さい子たちもいて、 彼らはまたストリートに戻ってしまいました。
===(注・森住)====
ストリートチルドレンを支援している欧米人のNGOが昨年末まで 安ホテルを借りて子どもたちをケアしていた。 シンナーや薬物から足を洗ったた子どもたちだけだが、 いわゆる良い子になった子どもたちだけ居心地の良いホテルに連れて行くため、 残された子どもたちはいっそう孤独感に襲われていた。


以下バグダッドでストリートチルドレンのケアをしている高遠菜穂子さんから届 いたメールを転載します。

私は1月4日からホテルの近くに部屋を借りています。 古いアパートですが、子どもたちにシャワーを浴びさせたり 食事をさせたりするためには十分すぎるくらい素晴らしい!部屋です。 日本人のみなさんもお気に入りです。マザーテレサの施設の隣の隣です。
昨日、ボランティアとジャーナリストと3人でシェルターに行って 左腕に怪我をしてる子の手当てをしてる間に一人の子が痙攣を起こしました。 病院に行くのもこの子らには一苦労。救急車なんて呼べるはずない。 痙攣がおさまってからしばらく横向きにして呼吸困難を回避し、 立ち上がれるようになったので、私の部屋につれていきました。 夜9時ころ、私はホテルに戻り、ジャーナリストとボランティア(どちらも男性)が 部屋に子どもと一緒に泊まってくれました。夕べは私のアパートの周りの住民もかなーり冷たい視線でしたが、 (あまりにも汚なかった)今朝は住民から”素晴らしいわ!’と お褒めの言葉を頂戴いたしました。ふぅーって感じです。 ゆっくり、一人ずつこうやって行きながら、 大きい子たちには仕事、学問、音楽、アートなどさまざまな選択肢を 少しずつ増やせていけたらと思います。 冷たい視線が多い中、本気で協力してくれるイラク人もたくさん出てきました。 仕事の斡旋をしてくれるという社長が日用品や子どもの服を寄付してくれることになりました。
毎日、毎日、めまぐるしい展開です。 とりあえず、WASH THE STREET CHILDREN プロジェクト、がんばります。
高遠 菜穂子

ストリートチルドレンに生活自立支援を呼びかけています。
千歳白樺郵便局
郵便振替
口座番号02750-3-62668
口座名イラク支援ボランティア
高遠菜穂子


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