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写真家と科学者

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水頭症の子ども=オスパノワちゃん
 「この子の写真を撮って世界中の人に核実験の被害を知らせて下さい」と医師が水頭症の 赤ちゃんが寝かされている部屋に案内してくれた。
水頭症の子どもオスパノワちゃんは生後9ヵ月。セミパラチンスクの近くのポストチナヤ村に両親は住んでいる。
(セミパラチンスク子どもの家 1998年5月)
1999年の9月に取材に行ったときには、すでにオスパノワちゃんは亡くなっいた。
 放射能の被害を伝えるため、私はセミパラチンスクで撮った写真を新聞社や出版社に持ち込んだ。 しかし、持ち込みはしばしば不成功に終わった。因果関係がはっきりしない写真は載せられない、と いうのだ。とくに高級な(?)雑誌がそうだった。状況証拠はこんなにそろっている。にもかかわらず 個々の因果関係が証明されないからという。断わられる度に現場を見てきた人間にしかわからない悔しい 思いを何度か味わった。

 科学的に因果関係を立証できればそれにこしたことはない。しかし私は写真家であって科学者ではない。 私にできることは、そこに暮らす被曝者の姿、苦しみ、悲しみを映像で伝える事だ。


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