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草原の結婚式

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新郎新婦  草原の日没はドラマチックで実に美しい。黄、赤、紫と刻々と変化する空の色。 やがて満点に星が輝き出す。北斗七星、カシオペア、そして南北に白く濁ったような ミルキーウェイ。無数の星空は、ビキニ水爆の被曝者が住む島、太平洋のマーシャル諸島 クワジェレン環礁を横切った時に見た夜空を思い出させてくれた。ビキニも太平洋の孤島、 セミパラチンスクもモスクワから見れば辺境の地、共に核実験場にされた。 核を持った権力者の考え方の根底には米ソを問わず他民族蔑視の大国思想が見え隠れする。 しかし、そこにも人間の暮らしがあるのだ。

 気温は急激に冷え込みジャンパーが必要だ。夜10時半過ぎ、ようやく新郎新婦がバスでやってきた。 二人の門出を祝っているように、裸電球がバージンロードを照らし出している。 式場には昼間から近所の主婦が作ってくれた料理や菓子、ウォッカなどが置かれ、壁や天井はきれいに デコレーションされている。

 お母さんが司会者からマイクを横取りして挨拶している脇には、新郎のお父さんがよれよれの背広を 着て嬉しそうに立っている。

 やがて次々と友人立ちがカザフスタンの民族楽器ドンブラーの伴奏で歌い出す。みないい喉をしている。 時計を見ると午前1時を少し回ったところだ。宴は朝まで続くらしい。


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