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■2001/10/30
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先日訊ねた、シャムシャトゥー難民キャンプに行く途中、もくもくと黒い煙を上げる煙突が幾本も見えた。
イラク南部でも見かけた煉瓦工場の煙突と同じだった。しかし、ここにはたくさんのアフガン難民が働いていることを知り、にわかに興味がわいてきた。
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乾いた煉瓦を馬の背に乗せ、近くの窯に運ぶ。
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友人のカメラマンと一緒に訊ねた工場はシャムシャトゥーの手前にあった。粘土質の台地掘ってをそのまま煉瓦を焼く窯にしている。
雨が長期間降っていないため、車から降りると靴が半分パウダー状の土の中に潜り込む。子どもたちが走り回ると辺り一面土埃が舞い、たちどころにカメラが埃みれになってしまう。幸い、ほとんど風がないため、土煙はすぐに収まる。
辺り一面、黄土色の世界だ。
煉瓦の原料は粘土。水でこねて、煉瓦の形の鉄製の枠に粘土を詰めて、枠から外せば煉瓦の形が完成。あとは天日で干して、窯で焼けば完成だ。
この生産に携わっている労働者の80パーセント以上がアフガニスタンから来た難民だ。
アフガニスタン難民を雇った方が安あがりのため、パキスタン人の働く場所を奪っているようだ。
私の行った工場はハジグル・ザマンが経営する工場だ。ここには300人40家族が働いている。全員がアフガニスタンからの難民だ。
ムハンムッド・ジャンさん(36歳)は20年前、ソ連が侵攻したとき、ジャララバードから逃げてきた。ここで結婚し、1歳から12歳までの5人の子どもがいる。ジャンさんは2人の息子と作業していた。イソップくん(12歳)と弟のシェボくん(10歳)はお父さんが捏ねた粘土を型枠の大きさに丸め、枠から外れやすくするため、砂をまぶし、型枠にはめて煉瓦を作っていた。その動きの素早さは、何年もこの作業をやってきた手の動きだ。弟の丸める粘土の大きさはぴったり型枠一杯になる大きさに的確に丸められていた。
ムハンマド一家の収入は一日働いて平均130ルピーにしかならない。
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ブシミナ(6歳)ちゃんが 煉瓦をひっくり返す作業をしていた。
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隣の一角ではサデックちゃん(10歳)ブシミナちゃん(6歳)とカマランちゃん(5歳)の3人の兄弟が乾きかけた煉瓦をひっくり返していた。乾きかけた煉瓦をひっくり返すの
は体重の軽い小さな子どもたちの仕事だ。ここでは、子どもが重要な労働力になっている。
彼らの家庭のほとんどが子どもを学校に行かせる経済的ゆとりはない。
一日中土埃にまみれて働くことが当然のように無心で働く子どもたち。彼らは学校という言葉を知らない。
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